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カテゴリ:文春文庫 の記事リスト(エントリー順)

誰か Somebody / 宮部みゆき

kage

2016/11/03 (Thu)

あらすじ。

今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を
受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生
をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める。

感想。

杉村三郎シリーズ第一弾!面白かった。丁寧に描かれるストーリー、圧倒的な筆力における
きめ細かい人間情景、筆者の実力をまたも思い知りました。著者の作品は少ない数ですが
読んでいますが、まだまだ読み足りないと思いました。早く積読を減らして時間を作り、かつ
時間をつくり上手く読みたいです。

主人公の杉村三郎は、大企業の社長の娘婿でその会社のグループ広報室でグループ社内報
の作成の業務を担当している。娘婿という立場であり義父とは微妙な関係でもある三郎の悲哀
も感じさせます。そして平凡な男という印象を与えているものの実は鋭い洞察力を持つ男でも
あります。

社長である義父の個人運転手だった男が自転車と衝突して死亡、犯人が不明なので娘たち
は犯人捜しの一助として亡き父の人生を描いた本を出版しようと企画する。その話を受けた
三郎は運転手の過去を調べるのだが・・・。娘が心配するような暗さはなかったが、違う事での
隠し事があった。

最後は姉妹でのお互いを羨み僻みでの感情がある悲劇を生んだ。兄妹姉妹はどこかお互い
をうらやんだりひがんだりと思うこともあるだろう。それが親の愛情などを含むものであれば
尚更だ。これは人間臭い話でもあり、悲劇は読後感は少し嫌な部分もある。

杉村三郎シリーズは現在4作でているので、先ずは既刊を読破したいと思います。

花の鎖 / 湊かなえ

kage

2016/06/28 (Tue)

あらすじ。

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供が
できず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が
3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実

感想。

久々の湊作品。相変わらず面白いな。三人の女性が出てきて、各章でそれぞれ進んで
行くわけですが、いつ3人が交わるのか気になって読み進めますが、終盤でまさか
の繋がり方で、そうきたか!と唸りましたね。見事すぎて面白かったです。

ネタバレ的に言えば、母娘3世代の物語です。誰が誰のというのは読んでのお楽しみ
ですが、3人にはKという人物が絡んでいて、それは3人を悩ませます。
でも、紗月の決断は素晴らしいですね。前田さんの力も大きいかも知れません。

しかし、こういう話の構成、桜庭氏の赤くち葉家の伝説でしたっけ、あれも読みましたが
世代に渡る因縁というかしがらみや生き様を描く構成は好きですね。壮大さもいい。
今までの湊作品と一味違う構成で楽しめました。

かわいそうだね? / 綿矢りさ

kage

2016/05/13 (Fri)

あらすじ。

「許せないなら別れる」恋人の隆大が求職中の元彼女・アキヨを居候させると言い出した。
百貨店勤めの樹理恵は、勤務中も隆大とアキヨとの関係に思いを巡らせ落ち着かない。

感想。

久々の綿矢作品。二編の短篇集。女性ならではの女性の感性の作品であった。

表題作の「かわいそうだね?」は、樹理恵のまず、自分の器の大きさを大人の対応を意識し
アピールする女性像は、無理をしていてやはり元彼女と彼氏の生活は当然耐えれるものでは
ない。分かり切っているのに我慢しているのは滑稽だし嫌な気分になった。
アキヨの弱そうでいて実は必死で強い存在も、生きる為にはやむないのか

もう一篇の「亜美ちゃんは美人」は容姿端麗な亜美ちゃんのお気に入りの友達視点での
話。美人の友達とはこんな感情を抱くのかとか思い込まされる。
ただ、それほどのものではなく、ふーんって感じで読後感は良いとは言えない。
満足感という意味でだ。

久々の綿矢作品。特に自分にとってはあまり関心のない著者の作品だが、たまには読んでみる
のも話のネタにはなるか(話す相手はいないが)。

月と蟹 / 道尾秀介

kage

2015/07/02 (Thu)

あらすじ。

海辺の町、小学生の慎一と春也はヤドカリを神様に見立てた願い事遊びを考え出す。無邪気な儀式ごっこ
はいつしか切実な祈りに変り、母のない少女・鳴海を加えた三人の関係も揺らいでゆく。

感想。

道尾作品は2作品目。今作は直木賞受賞作。小学生の葛藤を描いた力作だ。始めは単なる日常な作品か
な~、と思っていたら、小学生らしい残酷な遊びと小学生らしからぬ大人びた葛藤と悩みが渾然一体となって
読者を引き込んでいく内容は素晴らしいです。

転校してきた慎一は友達も居なかったが、同じ境遇の春也と遊ぶようになる。そしてヤドカリを近所の山の
洞窟に飼うことを始める。そしてヤドカリを火で炙り出し、中身を神様に見立て願い事を祈る。そうしたら祈り
が・・・・・・。

春也と慎一に鳴海が加わり人間関係も複雑さを増す。鳴海が春也との距離を縮めていくに従って面白くな
い慎一の心境、そういう中で春也の不幸を願う慎一の心が人間の醜さである。そういうのは小学生では
少し大人びている。がリアルな心情でもある。

慎一の母と鳴海の父の情事というか恋愛も、二人の子供にとっては深刻な悩みだ。そんな慎一は鳴海の
父の車に忍び込み、知ってしまうのも酷だった。そしてヤドカミ様にあることを願うのが、肝だ。春也が
実行犯だと理解していて願う。しかし、直前でそれを思いとどまらせる行動は大胆だ。そこで見た幻は
本物だと思えてしまう。

前に読んだ著者の作品の「球体の蛇」もそうだが、暗い話が得意な感じだ。実力のある著者の作品は他
にも読んでみたいので要チェックだな。

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ダチョウは軽車両に該当します / 似鳥鶏

kage

2015/06/10 (Wed)

あらすじ。

県民マラソン大会のコースを駆け抜けてくるのは「ダチョウだって?」。そして発見された焼死体。捕獲した
ダチョウと被害者とをつなぐものとは?

感想。

楓ヶ丘動物園シリーズ第二弾!今回は凄く読み易く面白かった。読み易く面白い点は2点。一つは、キャラ
が前作より立っている。メインの四人。特に変態の服部君と武闘派の鴇先生。服部君は金持ち設定だったりと
変人的な部分が増で良い。もう一つは、動物園の色々な業務や動物の生態などの説明描写が大分スリム化
された事だろう。 

今回は、鴇先生の前職の関連だ。突然現れたダチョウから、様々なトラブルが。しかし、鴇先生の若気の至り
とはいえ、あの元彼は酷いな。しかし、そんな奴がまさかの・・・だったとはある意味予想通りだ。

キャラが立っているといえば、鴇先生が喧嘩強すぎる。いや面白いけど。桃が状況からとはいえ七森さんを
疑ったのは規定路線なのかな。

そして動物園らしく、動物の豆知識が面白い。今回は少ないが、そこはこのミステリは持ち味でもある。そういう
部分は若干削られたところは残念だ。

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