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カテゴリ:文春文庫 の記事リスト(エントリー順)

ペテロの葬列(下) / 宮部みゆき

kage

2017/02/25 (Sat)

あらすじ。

杉村三郎らバスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」。送り主は?金の出所は?老人の正体は?
謎を追う三郎が行き着いたのは、かつて膨大な被害者を生んだ、ある事件だった。

感想。

下巻。上巻で散々に人間の闇に深入りはしてはいけないと思うも、下巻も読み惹かれてしまった。
下巻でも人間の闇が深く、毒が回りそうである。自死したバスジャック犯からの慰謝料の出所を
追う、被害者一同で。

詐欺師がすさまじく、マルチ商法の怖さはほんとに怖いな。被害者が自然に加害者になっている状況
が不幸の連鎖を産んでいる。暮木老人の過去も優秀なトレーナーであり、詐欺師であり、ある人物
をさらしあげた経緯がいや目的がいまいち自分は理解力が乏しいので理解が進んでないが、坂本
くんが、バスジャック犯人になったのは、ほんとに驚いた。

しかし、ほんとに驚いたのは菜穂子である。今までの菜穂子からは考えられないことをしでかした
ので三郎が気の毒だ。菜穂子は体が弱く、父親の庇護の下で不自由なく暮らしていて自分でも
一人では生きているという状況ではないのは理解している。しかし、やきもちやきだといっても浮気を
するのは三郎が救いがない。三郎の人生を返したい、やり直すには一度離婚して離れる。
三郎もやり直すことを考えているのか?

しかし、杉村三郎シリーズは救いがない。人間の闇の深さがエグイ。早速、最新刊も読まねば。

ペテロの葬列(上) / 宮部みゆき

kage

2017/02/06 (Mon)

あらすじ。

「皆さん、お静かに。動かないでください」。拳銃を持った、丁寧な口調の老人が企てたバスジャック。
乗客の一人に、杉村三郎がいた。呆気なく解決したと思われたその事件は、しかし、日本社会の、
そして人間の心に潜む巨大な闇への入り口にすぎなかった。

感想。

杉村三郎シリーズ第三弾の上巻。相変わらず筆者の書く物語は圧倒的な面白さを感じます。
そしてこのシリーズは読むと人間の嫌な部分をクローズアップしているので嫌な気分にもなり、
憂鬱にもなります。しかし、一気読みしてしまうほどに惹きこまれます。

今回は取材で訪れた元役員の家からの帰途でバスジャックに遭う。警察の突入で事件の解決
も呆気なかったように思われるもまだまだ謎は尽きなかった。そしてグループ広報室でも問題
が発生。二つの問題を同時進行で進めて行くと思われる下巻が楽しみで早く読みたい。

編集長である園田女子の意外な過去が明らかになり、辛い過去が有ったことに普段感じる
強い女性が印象を異にするところもある。STとかいう研修は多分だが実例を基にしたことだろう
と推察する。企業の研修など最近はCSRや色々世間がうるさい事もいうが昔は凄そうだ。

杉村が会長に預けた退職届。社に迷惑が掛かるという理由で預けた訳だが、どうなるのか。
杉村もほんとに探偵みたいになってきたな。そのうちホントになったりして。

早く下巻を読んで、最新作の希望荘も読みたいです。

名もなき毒 / 宮部みゆき

kage

2016/12/04 (Sun)

あらすじ。

今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカー
だった。解雇された彼女の連絡窓口となった杉村三郎は、経歴詐称とクレームぶりに振り回される。

感想。

杉村三郎シリーズ第二弾!今回は600Pのボリュームで大変に密度が濃く読み応えが有りました。
タイトルは無差別毒殺事件の事かな~と思っていたが、全く関係ない事はないけど、タイトルは
深い意味があって人間が抱えている闇そのものと言ってもいいですね。読んでいて背筋がゾッと
しました。

今回は、グループ広報室のアルバイトの原田いずみというトラブルメーカーを解雇した事と、世間で
起こっている無差別毒殺事件の二本の軸を中心に物語が進みます。また杉村の悪い癖でお節介
が過ぎ、事件に踏み込んでいく様は面白いけど、犠牲にしているものも有り物事は上手くいかない。

原田いずみの性格、人を傷つける性格を恐ろしいと思いました。人は誰しも無自覚に人を傷つけて
いるものですが、原田いずみはサイコパス並みに傷つけます。結局、そうする原因というか、そうな
った経緯が語られていなかったのでそこは消化不良ですが、今回の肝でテーマとでも言うべき
人間からにじみ出てくる毒というものにぴったりの人物でした。

悪意があってら余計ですが、そうでなくても人間から出てくる毒というものは何なのか?という
深いテーマは今後のこの作品の根幹に据えられると思います。

主人公の杉村は今回の騒動で家庭に違和感やぎくしゃく感を残してしまった。これも人様に勝手に
深入りしてしまう、人の注意喚起も聞けない状態で突っ走るという悪癖がもたらした産物だ。
探偵になればいいとか言われていたが、ホントになりそうで、その時は家庭崩壊しそう。

全体的に暗い雰囲気の内容だが、著者の筆致に惹きこまれます。続巻も出てるので図書館へ
GO!します。

誰か Somebody / 宮部みゆき

kage

2016/11/03 (Thu)

あらすじ。

今多コンツェルン広報室の杉村三郎は、事故死した同社の運転手・梶田信夫の娘たちの相談を
受ける。亡き父について本を書きたいという彼女らの思いにほだされ、一見普通な梶田の人生
をたどり始めた三郎の前に、意外な情景が広がり始める。

感想。

杉村三郎シリーズ第一弾!面白かった。丁寧に描かれるストーリー、圧倒的な筆力における
きめ細かい人間情景、筆者の実力をまたも思い知りました。著者の作品は少ない数ですが
読んでいますが、まだまだ読み足りないと思いました。早く積読を減らして時間を作り、かつ
時間をつくり上手く読みたいです。

主人公の杉村三郎は、大企業の社長の娘婿でその会社のグループ広報室でグループ社内報
の作成の業務を担当している。娘婿という立場であり義父とは微妙な関係でもある三郎の悲哀
も感じさせます。そして平凡な男という印象を与えているものの実は鋭い洞察力を持つ男でも
あります。

社長である義父の個人運転手だった男が自転車と衝突して死亡、犯人が不明なので娘たち
は犯人捜しの一助として亡き父の人生を描いた本を出版しようと企画する。その話を受けた
三郎は運転手の過去を調べるのだが・・・。娘が心配するような暗さはなかったが、違う事での
隠し事があった。

最後は姉妹でのお互いを羨み僻みでの感情がある悲劇を生んだ。兄妹姉妹はどこかお互い
をうらやんだりひがんだりと思うこともあるだろう。それが親の愛情などを含むものであれば
尚更だ。これは人間臭い話でもあり、悲劇は読後感は少し嫌な部分もある。

杉村三郎シリーズは現在4作でているので、先ずは既刊を読破したいと思います。

花の鎖 / 湊かなえ

kage

2016/06/28 (Tue)

あらすじ。

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供が
できず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が
3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実

感想。

久々の湊作品。相変わらず面白いな。三人の女性が出てきて、各章でそれぞれ進んで
行くわけですが、いつ3人が交わるのか気になって読み進めますが、終盤でまさか
の繋がり方で、そうきたか!と唸りましたね。見事すぎて面白かったです。

ネタバレ的に言えば、母娘3世代の物語です。誰が誰のというのは読んでのお楽しみ
ですが、3人にはKという人物が絡んでいて、それは3人を悩ませます。
でも、紗月の決断は素晴らしいですね。前田さんの力も大きいかも知れません。

しかし、こういう話の構成、桜庭氏の赤くち葉家の伝説でしたっけ、あれも読みましたが
世代に渡る因縁というかしがらみや生き様を描く構成は好きですね。壮大さもいい。
今までの湊作品と一味違う構成で楽しめました。