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カテゴリ:新潮文庫 の記事リスト(エントリー順)

ヒア・カムズ・ザ・サン / 有川浩

kage

2016/12/23 (Fri)

あらすじ。

編集者の古川真也は、特殊な能力を持っていた。手に触れた物に残る記憶が見えてしまうのだ。
ある日、同僚のカオルが20年ぶりに父親と再会することに。彼は米国で脚本家として名声を
得ているはずだったが、真也が見た真実は。

感想。

この作品は、たった7行の大まかなあらすじから作られた物語である。舞台化もされた。
そして小説版の執筆は自分の好きな作家さんでもある有川浩氏である。しかも小説版には
パラレルと題して設定は同じでも全く内容の違う物語も収録されており、2本とも読み応えがあった。

一本目の方は、真也の同僚のカオルが米国で名声を得ている脚本家の父に20年ぶりに再会する
という。しかし、そこには意外な真実。真也はサイコメトリー能力があり、父親からの手紙から強烈
な想いを読み取る。謎は言わないが、仕事人としては良いが、家庭人としてはね・・と言わざるを得ない。

二本目は、パラレルで、こちらはカオルの父親は嘘ばかりついている人。しかし、カオルの父親想い
、父親の娘想いなど家族の絆がいいな~と思った。

どちらも中編というボリュームなのでエピソードも日常で埋められる部分も多い。
著者はベタ甘の恋愛物も得意とするが、今回はそういう要素が少ない。ちょっと欲しかった。
また、三匹のおっさんやフリーター、家を買うみたいな個人的なしっくりくるものがなく、総評は
普通である。そのうち時間があったら再読してみて、また何か感じる思いも出てくるかもです。

図南の翼 / 小野不由美

kage

2016/12/16 (Fri)

あらすじ。

国を統べるのは、あたししかいない!恭国は先王が斃れて27年、王不在のまま治安は乱れ、
妖魔まで徘徊していた。首都連檣に住む少女珠晶は豪商の父のもと、なに不自由ない暮らし
を与えられ、闊達な娘に育つ。だが、混迷深まる国を憂える珠晶はついに決断する。
「大人が行かないのなら、あたしが蓬山を目指す」と。

感想。

十二国記シリーズ。やっぱ凄く面白いわ。相変わらず心を鷲掴みにされます。今回は恭の国
の話。話の初っ端から珠晶が供王になることは分かり切っていますが、そう簡単には王には
なれないぞ!という事や危険な道中での人の命の事など深く考えるようなことばかり。
凄く惹きこまれます。

12歳の聡明で小生意気な少女が一人で蓬山を目指す。そこで黄朱の頑丘や実は宋の太子の
利広と一緒に旅をしていくのは凄く道中危険なのにそれぞれの考えがある。そんな中、珠晶は
頑丘が(金で雇った)主人である珠晶しか守らず、他の昇山する人を守らないとか意見の対立
とか大人の考えや子供の考え、生きる為の方法、そうするしかない事柄など考える切り口は
山ほどある展開に惚れ惚れします。妖魔の出る道中では生きるので精いっぱい、しかし珠晶
は人々を簡単には死なせない立ち回りが、もう王としての優しさや果敢さを体現している。

真君が出てきたりと珠晶はほんとに幸運に恵まれている。死にそうになりながらも私しか王に
なる人はいないという強い信念がほんとに叶うのは、最後に麒麟が迎えに来るのは胸が熱く
なりました。

サブキャラの頑丘なんかはぶっきらぼうだが人情味もあるところがいい。黄朱の里を成り行き
とはいえ珠晶に教えてしまうあたりもそうだ。

早く次巻を読まねば!

天国旅行 / 三浦しをん

kage

2016/04/20 (Wed)

あらすじ。

現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろう。すべてを捨てて行き着く果てに、
救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた
遺言、などなど

感想。

久々の三浦しをん作品。心中をテーマにした作品で、全7篇の短篇集。死をテーマにしている
から重いイメージを抱いていたが、思ったより救いもあったし心温まる話もあった。

個人的には各短篇を評価すると
・森の奥 ◎ 自分もおっさんだし、感情移入でき、温かい話に素直に弱い
・遺言  △ 独身なので、心境がわからない
・初盆の客 ○ 奇妙な縁で最後はハッピーエンド。不思議な話。
・君は夜 × 都合のいい女性に成り下がっている女性に不快
・炎 △ 初音に利用されたとしても信じているというのに寂しい部分はあるも納得。
・星くずドライブ △ 犯人はお前か。
・SINK △ つらい過去があるとそういう気持ちにもなる。

こんな感じの感想・評価になりました。
基本的に短篇は、長編に比べれば好きではないのですが、三浦しをん作品は悪くない。
著者の作品的に、多田~や源と政みたいな作品が好き。そういう感じの物語をもっと書いて
欲しいな。

丕緒の鳥 十二国記 / 小野不由美

kage

2015/10/16 (Fri)

あらすじ。

「希望」を信じて男は覚悟する。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた
陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮していた。

感想。

短篇二篇に書き下ろし二篇の短篇集。面白かったです。今回は、王や麒麟を主人公にするのではなく、
下級官吏や民を主人公に十二国の暮らしぶりを描く。下々の暮らしや考え方を知ることによって、この物語
をより一層の深みを増した気がします。そして、皆が、国の将来を憂いたり、希望を抱いたり、助け合ったり
と心が前向きになるのと同時に苦しくもなりました。各篇の感想です。

・丕緒の鳥
王に、自分の思いを「大射」の儀式で伝えるということに苦心する様は、忠義でもある。予王には上手く
いかなかったが、陽子には上手くいって良かった。陶製の鳥の奏でる楽はさぞかし美しいのだろう。

・落照の獄
国が傾きつつある現状で、何人も躊躇無く殺人を犯す犯罪者を死刑にするか悩む司法官の話。これが
話が深く重く、一番印象に残った。民の意見や遺族の意見は問答無用というか理屈ではなく死刑を望む
が、司法官として簡単には死刑というのは下せない。国が傾いている中での適用は前例を作るだけで
、且つ、乱用を誘発しそうという懸念もある。司法官の下した結論は、正しいのだろう。

・青条の蘭
郷里の森を守ることは、ひいては山を守り国を守ることになると何年も対抗策を研究して見出すも、下級
官吏のため、又、中級官吏が腐敗しており王には意見が届かない。そんな中、必死で蘭を届けようと
する気概と姿勢は感動する。知らない人々が標仲の気持ちを汲んで助け合う姿が心を温かくする。
結果は描かれてないが、上手く行って欲しいものだ。

・風信
国が貧しく、荒れているなかで、どこか浮世離れした暦を作る仕事をしている屋敷。そこで身寄りのない
主人公は溶け込むも、空行師に襲われ、浮世離れした人々に憤慨してします。しかし、暦は人々には
必要なもの、それしかできないという。そういうものだろう。

面白かったです。色々な人にスポットライトを当てることで世界観が凄く広がり精緻で密な物語が読み応え
につながり、面白いです。次も楽しみ読みたいです。


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キケン / 有川浩

kage

2015/10/13 (Tue)

あらすじ。

ごく一般的な工科大学でる成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」、略称【キケン】。部長・上野、
副部長・大神の二人に率いられたこの集団は、日々繰り広げられる、人間の所行とは思えない事件、犯罪
スレスレの実験や破壊的行為から、キケン=危険として周囲から忌み畏れられていた。

感想。

久々の有川作品。面白かった。いつものベタ甘のものも良いが、こういう男臭い大学の部活物もいい。
物語は、主人公の元山が大学時代を思い出しながら妻と会話するという感じで回想する形式だ。
自分も大学時代は部活に入っていたが、それを思い出させる、そんな作品でした。

成南のユナ・ボマーと危ない異名を持つ部長の上野は強烈だ。こんな危険で行動力がある先輩がいたら
さぞかし部活も面白いことだろう。ツンデレなところもあるが基本的には良い先輩だ。そんな暴走する先輩
の突っ込み役のお店の子の元山は、らーめんの拘りと言うか努力の奇跡の味再現はいいね。

副部長の大神の一時の恋路も不憫でならない。あそこまでラブラブでいながら、お預けで最後は嫌がられ
るとは、お嬢様もどういうつもりか。しかし、大神も上野のストッパーではあるも完全な共犯者の感じだ。
池山も良い同期だし、いいね、こういうノリ。

しかしながら、懐古的な作品ですが、個人的には有川作品の中では心にぐっとくるところが少ないので
そこが残念だな。ま、有川作品には基本、教訓的なものは少ないですが。でも、娯楽性には優れている
ので、読んでいて楽しいです。

30歳くらいに読むと楽しい本な気がします(自分はかなり年上ですが)、その年齢その方は必読です。

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