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カテゴリ:東京創元社/創元推理文庫/創元SF文庫 の記事リスト(エントリー順)

折れた竜骨 下 / 米澤穂信

kage

2015/07/24 (Fri)

あらすじ。

自然の要塞であったはずの島で、偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃れた。<走狗>候補八人
の容疑者、沈められた封印の鐘、塔上の牢から忽然と消えた不死の青年、そして甦った「呪われたデーン人」
の襲来はいつ?

感想。

下巻。面白かった。犯人も意外な人物でした。不死の青年の牢獄からの脱出も、そんな方法とはね。しかし、
アルミナは何故協力したのかな。単純に惚れたのか?青年の志に感銘を受けたのか?

弟のエドリックの影が視ないので、どういう風に解決つけるのかとワクワクしていましたが、もう死んでいたと
はね。そして代償に魔術にかかっていたとか。兄弟同士の戦いは壮絶だった。どうりで出てこない訳だ。
エドリックの弟子に、危うく毒殺されそうになるも危機を乗り切るのも病院兄弟団ならではの技だ。

ニコラはいい愛弟子だ。フィッツジョンの犯人を言う前のセリフは、自分が走狗だときずいてたのだな。そして
自分を殺すように暗に命じたファルク。ニコラも期待に応えた。素晴らしい師弟愛だ。

ニコラが騎士として暗殺騎士を倒すそして、アミーナを守ると約束するのがカッコいいな。

解説にあった、ファンタジーのミステリは現代劇と違い自分で世界観や殺人などの方法も創作できるので
自由度は高いが難しい。そこを上手く書ききっているのが著者の実力が凄い。面白かったです。

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折れた竜骨 上 / 米澤穂信

kage

2015/07/17 (Fri)

あらすじ。

ロンドンから出帆し、北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。その領主を父に持つアミーナは、放浪の
旅を続ける騎士ファルク・フィッツジョンと、その従士の少年ニコラに出会う。ファルクはアミーナの父に、御身は
恐るべき魔術の使い手である暗殺騎士に命を狙われている、と告げた……。

感想。

第64回日本推理作家協会賞受賞作。面白かった。上巻ということで、まだまだ謎が解明されていないが、
普通のミステリーと違い、舞台は中世で魔術や剣が当たり前の世界で、ファンタジーで、いい味出している。

暗殺騎士という謎の人物を突き止める訳だが、暗殺騎士の走狗である候補者8人の中から該当者を見つけ
だし、アミーナの父を殺した犯人を突き止め、最終的に暗殺騎士のエドリックを殺すことが目的だ。魔術同士
の痕跡の探りあいとかいい。魔術といってもラノベみたいな派手ではなく、地味である。

地道な犯人の捜索というか犯人探しは面白いが、上巻の見せ場は小ソロン島の七日の秘密だろう。これで
大ソロン島の人々も犯人の可能性が出てきたということだ。やはり8人の候補者が怪しいとなる。

あと、不死の青年、呪われたデーン人は、どういう役割を担っているのか気になります。なんたってデーン人
が攻めてくるとの話だから。

普通のミステリーと毛色が違うので、伏線が自分には分かりづらいところはありますが、読み手を夢中に
させます。著者の作戦勝ちと力量が出ている作品です。

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製鉄天使 / 桜庭一樹

kage

2014/04/02 (Wed)

あらすじ。

東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女
として生まれた赤緑豆小豆。鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。

感想。

「赤朽葉家の伝説」のスピンオフ。ってっきり毛毬の話の部分を切り取った濃密な話かとおもったら、まあ、
間違いじゃないけど、違った。基本設定はほぼ赤朽葉と一緒ですが、登場人物の名前が違うし、不思議な
能力もある。これは、もしかして毛毬が書いた漫画の話なのか、そうなのか、どうなのだろう。

鉄を支配する能力を持つ小豆。中学生から不良になり、アダルトショップの店長(伝説の総番)から天下
を狙うように勧められ、実現してしまうのは心地よい。エドワード族とか凄いな。ドブスの集まりとか、
そういうこの作品の作風とはいえ恐ろしや。

ミステリでもなく基本的には毛毬の武勇伝と青春物語となるのですが、淡々と読んでしまい、あまり面白さ
を感じませんでした。赤朽葉の流れで期待していたのに残念だ。

しかし、花火とハイウエイダンサーには好感が持てる。忠義な彼女らには割りに助けられてるな。
結末は、コメディ的な感じで漫画チックだった。毛毬原作の漫画のノベライズと思えば納得だ。

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製鉄天使 (創元推理文庫)製鉄天使 (創元推理文庫)
(2012/11/29)
桜庭 一樹

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Nのために / 湊かなえ

kage

2014/03/31 (Mon)

あらすじ。

「N」と出会う時、悲劇が起こる。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水
がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。

感想。

面白かった。殺人現場に居た4人の男女。第一章で警察がその4人から事情聴取するという形式で物語は
展開する。いきなり犯人もその経緯も4人から語られ、この後どういう構成というか展開でストーリーが
進むのかと思った。そういう構成ねと。しかし、4人と語り手が変わり、時系列の状況把握が少々困難
だった、まあ、3日間掛けて読んだせいもあるかも。でも、そういう部分は読みずらい。

Nというのは皆の名前だったのね。全員がNなのだ。4人が4人とも何かしらの重い事情を抱えていて
人格形成というかそういうのに影響を与えているのが重い。死んでしまった野口夫妻も同様で夫妻ともに
欠点があり、おそろしい状況だ。

この作品は、まだ湊作品初期作品と言っても良いが、初期作品では少し構成に工夫があるのが特徴か。
まだ、文庫化されてないのが不思議だけど。

この作品はDVや愛についてもテーマとしてあり、暴力が愛と曲解というか錯覚が痛々しい。DV受けて
しまっている人が、DVする人に変な意味というかDVする人のことを気遣っているのは共通だ。
しかし、愛について罪の共有がそうだという杉下は、何か心理的なものを感じ、両親の影響もあるのだろう。

語り手が変わり、真相が次第に解明されていくのは面白いが、やはり4人もの視点からのストーリーは
やや分かりづらい。でも、面白い。湊作品では中の下。しかし、料亭に放火したのは誰だろう?

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NのためにNのために
(2010/01/27)
湊 かなえ

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赤朽葉家の伝説 / 桜庭一樹

kage

2014/03/11 (Tue)

あらすじ。

”辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家
赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の”千里眼奥様”と呼ばれることになる。

感想。

読み応えのある重厚な物語でした。旧家の赤朽葉家の祖母・母・娘の女三代記。それぞれの時代背景を
リアルに描きつつ、その中で生き育っていく様を描いている。終盤ではこれはミステリ?という様相を呈して
いるが、その部分にも興味を惹かれたが、やはり千里眼奥様こと万葉のことが気になりました。

始めは、祖母・万葉の物語。山の人である辺境の人に置き忘れられ、村の若夫婦に引き取られた女の子。
何故か、赤朽葉家のタツに見初められ息子の嫁へと懇願される。昔から未来視体質で千里眼である。
その不可思議な部分で皆から畏敬の念を抱かれる。女中の真砂に強烈な嫉妬され親子ともに縁が出来る
のは怖いな。

そして母・毛毬。中国地方を統一した暴走族のリーダーで、女傑。この人の物語が一番面白い。百夜が
可視できないという嘘?をついているという強烈な性格も凄い。そして長兄の泪が他界して自分が旧家
を背負っていくことに責任を感じるのも。弟の孤独の漫画の影響か、まさかのベストセラーの漫画家とな
る。短い生涯だったが、印象深い。

最後に娘の瞳子。何者でもない女の子。平凡な女の子。祖母の万葉の死に際の言葉を聞き、その真相を
追及する。一ツ目の正体を暴く、というか飛行の件を暴く。一番、今の時代に近いので読みやすい。

賞を受賞しただけあって重みが感じられる気がする。スピンオフである製鉄天使も読もうと思う。

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赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)
(2010/09/18)
桜庭 一樹

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